世界最大の資産運用会社ブラックロックが、仮想通貨市場の調査チームを発足したことを発表しました。しかし、初心者の方からすると、ブラックロックという会社を初めて聞いた人や、知らないって言う方のほうが多数だと思います。投資会社として世界的にも有名な企業で絶大な影響力を持つブラックロックと仮想通貨について解説したいと思います。
ブラックロックとはどんな会社なのか
ブラックロックは、グローバルな資産運用会社です。
2015年の時点では、運用資産をグループ全体で総額4.51兆米ドル(約540兆円)の巨額資金を運用する資産運用のプロ集団と言えるでしょう。
全世界から預かった資産総額は、世界のGDP6パーセントに及ぶ4兆7千億ドル、日本円でおよそ500兆円とも言われています。日本の年間GDPと同額を運用していることになります。
ゴールドマンサックス等も有名どころとして有名ですが、同じ巨額を動かす組織として見ても、ブラックロックとゴールドマンとは根本的に事業がことなる面があると言われています。ゴールドマンサックスの場合、事業の本質は売買によるトレーディングが大半を占めます。トレードでも儲けるため、ゴールドマンサックスの場合、巨額の報酬をもたらすことでも有名な話です。

一方、ブラックロックは、投資信託や上場投信(ETF)などを中心に活用した年金基金などの機関投資家と個人向けの堅実的な投資に軸足を置いていると言えます。そのため、売買のポジションを取って利益を取ると言うより、資産を運用した手数料で稼いでいると言う感じです。
また、ブラックロックはスキャンダルという不祥事ネタが無いため、政府・公的機関からの信用が高いと言えるでしょう。カリフォルニアを含む州の公的年金向けの1兆4000億ドルを運用したり、アブダビ首長国などの政府系ファンドや中央銀行向けに2400億ドルの投資も手掛けたりしています。
ブラックロックが仮想通貨市場に参入
ブラックロックが巨額の資金を運用して世界的にも影響力のある投資会社と言うのは分かったと思います。その、ブラックロック社が、仮想通貨市場に参入を検討していると英フィナンシャルニュースの報道で、「ブラックロックが仮想通貨やブロックチェーンを検証するチームを立ち上げた」ことが確認されました。
英フィナンシャルニュース記事
https://www.fnlondon.com/articles/blackrock-begins-exploration-of-bitcoin-20180716
このニュースによって、ビットコインの価格が4%近くまで急騰する動きを示しました。しかし、「ブラックロック社」が仮想通貨市場に参入が確定したわけではなく、あくまでも「仮想通貨市場へ参入を検討している」と言う段階です。
更に言えば、ブラックロック社が仮想通貨に対しての研究グループの立ち上げだけで言えば、2015年の段階で発表されているらしく、既に3年間の、様々な検証がブラックロック社の中ではされているはずです。
それなのに、何故、話題として上がり急騰材料になるのか・・・
それは、このブラックロック社の発表の裏には、ETF(Exchange Traded Fund)の略称で「上場投資信託」と言われる金融商品の販売に乗り出すのではないかという思惑が広がったことが背景にあります。
ETFとは何って!?言う方には、簡単にどんなものなのかを以下の5点で解説しています。
- 仮想通貨の市場全体をそのまま購入できる
- 色々な種類があり選択肢が広く持てる
- 株と同じように証券取引所で売買ができる
- 世界中が注目するため資金が集まりやすい
- 個人投資家だけでなく日銀や銀行も投資する
これらの動きが本格的になれば、仮想通貨市場に多くの資金が流入してくることが想定されることもあり、期待と共に価格に影響を与えたって感じです。

しかし、ブラックロック社は、過去にも仮想通貨に対する見解を何度か述べていますが、どれも結構、否定的な見解が多かった印象を受けます。
BlackRockのグローバル投資戦略担当者であるRichard Turnill(リチャード・ターニル)氏は、2018年2月に「市場が大きくなるにつれて、より幅広く仮想通貨が使用されることになると考えている」語っていましたが、それと同時に「今の市場は”全てを失うリスクを背負う覚悟がある人のみ”が投資を検討すべきである」との意見を述べていました。
ブラックロックのマネージングデイレクターのリチャード・ターニル氏は、同社の公式ブログで、仮想通貨が時間の経過とともに広く受け入れられる可能性があるとした。一方、現状仮想通貨は投資先として不安定で、ポートフォリオに組み込まれるまでには距離があると述べています。
また、BlackRockのCEOであるLarry Fink(ラリー・フィンク)氏は2017年10月、ビットコイン(BTC)について”マネーロンダリング(資金洗浄)の指標である”との考えを語っており、「ビットコインは世界中のマネーロンダリングの需要を示している」と述べていました。
これらの見解から読み解くと、ブラックロック社の仮想通貨への見方は、変わらず否定的であると考えても良いと思います。ETFへの期待からビットコインの価格は上がっていますが、ブラックロック社は、あくまでも市場参入を検討している段階です。報道でも「ブロックチェーンの検証チーム」と言っている点からすると、現在の投機的な仮想通貨ではなく、ブロックチェーン技術の可能性には期待していると言うことではないでしょうか。
今は、仮想通貨の投資チャンスなのか?

現時点で仮想通貨の投資による利益を取りにいくのであれば、買い時ではないでしょうか。その理由は、これまで述べて来た「ETFの期待感からの高騰」はいつまで続くのかってところではないでしょうか。
この視点で考えると、現在、ビットコインのETF申請が世界最大の先物取引所であるCBOE(米・シカゴ・オプション取引所)から米SEC(米証券取引委員会)に7月10日に提出されました。
過去、ETFについては2017年3月にニューヨークのウインククルボスが初めて申請をしましたが、その時は否決され、大きくビットコインの価格が下がる結果となりました。この時は、スグに買い戻しの動きが入って元の価格に戻る形になりました。
この、ビットコインETFの認可判断が下されるのは8月10日となります。この期日が伸びた場合、9月末までとなっています。
この点から考えると、8月10日までは買いを行っていっても、上がる可能性は高いのではないかと思います。何れにしても、今回のETF認可については、これまで以上に期待されているのは確かで、もし、認可された場合は多くの資金流入が仮想通貨市場に見込めるのではないかと思います。
まとめ
ブラックロック社の発言が注目されるのも、全てはETFへの期待感に煽られていると言うのが事実でしょう。現時点での投資としては、自分なりには買い時で、ETFの認可が下りるにしても下りないにしても、一旦、認可が出る頃には売り抜ける感じで考えています。
もし、認可が下りなければ、過去の事例から価格が落ち込むことは想定できますが、認可が下りたとしても、価格は一旦落ちると予想します。その後、実際にETFが動き出したら上がる要素になると思いますが、このように噂や予測で価格が上がっているケースの場合は、認可の答えはどっちでも良い的な考えで捉えておいた方が良いかもしれません。
まさに、「噂で買って事実で売る」って感じで良いのではないでしょうか。
また、今後の値動きに注目していきたいと思います。
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